自分会議

病院からの帰り道、渡されたパンフレットに書いてある字面が怖い。
「精索静脈瘤高位結索術」
静脈も、瘤も、結索も、術も怖い。
男性不妊患者の約4割程度に見られる症状だとか、 全身麻酔で三日程入院するだとか、自分ごとには思えない。自分の身体が手術を要する状態になっているなんて、簡単には理解できないものだ。

しかし、手術のことより、自分の生殖能力に問題があったという事実への動揺の方が大きく、頭の中はぐるぐるとまわっていた。
このままの自分では子供を作ることが出来ない。その事実は今まで生きてきた中でも上位三位に入るショックだった。
唐突に自分の価値が急降下したような気持ちになり、これはまずいとあわてて近くの団子屋に飛び込んだ。目についた団子を買い漁り、手にした団子の重みで心をここに留めた。

その日は妻が不在だったので、とりあえず点けた夏の甲子園を見るでもなく、一人考え続けた。
もともと考えるのが好きな性分だからか、不妊の事実から一歩でも離れたかったからなのか、一通り思いを巡らせたら、甲子園第三試合が終わるころには自分の考えはぼんやりと纏まっていた。

手術を受けよう。

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