診察とはいえ、他人に睾丸まわりを触られるのは正直気持ち悪い。
早く終わらないかと思いつつも、先程の医師の一言「あまりよくないですね」が気になるのでされるがままになっていた。
くったりと重力に屈しているジョニーを、ひょいと上向きに起こして、医師は睾丸をふよふよと触る。このまま消えてしまいたい気持ちになったところで、ぴったりとしたラテックスの手袋を外しながら医師は言った。「精索静脈瘤があります」
精巣へと続く血管で血液が逆流し、こぶ(瘤)が出来て、
結果的に睾丸の温度が上がり、精子の生成に悪影響があると言う。
「では、数値を見ていきましょう。」
検査結果の数値についてひとつずつ説明を受ける。
—
精液量:3.0ml
PH:8.5
精子運動率:5-10%
精子濃度:18(10の6乗)
—
数値の中で問題とされたのが
この二つ。簡単に言えば、精子の数が少なく、運動率も悪い。
WHOが定める基準値(2010年改訂)
よりも下だった。
その他の数値も、基準値は超えているものの、平均値よりはずいぶん下だそうだ。
精液検査と合わせて行ったホルモン検査では
fshが基準値よりもやや高め。(10.3)
医師いわく精子を作るより傷病を治そうとするホルモンが強く出ている結果だそうだ。
検査結果を一通り見て、日常生活の諸注意なんかを聞かされる。
サプリの話ではなく、治療の話が聞きたいと思っていたら、
「精索静脈瘤は外科的に処置が行えます。」ときた。
『外科的=手術?』
「そうです。手術は“高位結索手術”を行います。全身麻酔で二三日の入院が必要です。
放っておいても死ぬような病気ではないけれど、子供を望むのならやっておいた方が良い。」
手術という言葉に面食らっている僕をよそに医師は続ける。
「泌尿器科の医師として、手術のことを話しておきます。
次回は奥さんと一緒に来てください。今後の治療について話しましょう。」
まさか初対面で手術の話されるとはな。
この日かかった費用
診察(検査結果説明)
金額:600円程度